トップページに戻る
  少年リスト   映画リスト(邦題順)   映画リスト(国別・原題)  映画リスト(年代順)

Elvis! Elvis! エルヴィス! エルヴィス!

スウェーデン映画 (1976)

レーレ・ドナツィオ(Lele Dorazio)が主演するドキュメンタリーな雰囲気をもつ「愛」とは何かを問いかけるドラマ。題名の「エルヴィス」は、レーレが扮する主人公の名前で、由来は、もちろんエルヴィス・プレスリー。母が、熱狂してやまないプレスリーにあやかって付けた名だ。エルヴィスは一人息子で、祖父母と父からは文句なしに愛されているが、母とは波長が合わない。母は、エルヴィスを愛するあまり、干渉が大きく、逆に、それが常に小言となってあらわれる。それがエルヴィスには、なぜか理解できないし、嫌でもある。だから、母に理不尽に叱られると、「大嫌いだ! 死んじゃえ!」と怒鳴る。祖母には、「人間って、互いに理解できなくても、好きになれるの?」と訊いたりもする。映画の進行は淡々としていて、意図的に作られたようはハリウッド的展開は全くない。非常に散文的で、エルヴィスのあるがままの日常の姿を追い続けるだけだ。最初に、ドキュメンタリーという表現を使ったのは、そのためだ。監督のケイ・ポラックは『Barnens ö』で知られているが、ドキュメンタリー的という点では一致していても、この映画は、より清純で初々しい。それには、朴訥としたレーレ・ドナツィオの個性が反映されているのかもしれない。唯一の不満は、映画の撮影方法。光と影を対比させた映像は、「光」に対しては効果があるが、「影」の部分は最悪だ。暗すぎて、何も見えない部分が長時間続く。今回、あらすじを作成するにあたり、暗闇での画像は1点を除いて使用を諦めざるを得なかった。ラストの1枚だけは、「いい子になる」という、母との和解宣言を耳元で囁く大切な場面なので使ったが、元々黒一色に近い画像を増感させたため非常に見苦しい写真となった。

映画は、エルヴィスが、祖母の大切なワイングラスをうっかり割ってしまったところから始まる。それに対する母の叱り方はネチネチとしてくどく、自分の小遣いを差し出したエルヴィスを褒めるどころか、さらに叱る。エルヴィスの母はいつもこんな調子で、ことあるごとにエルヴィスに(夫に対しても)小言を並べる。エルヴィスが心の安らぎを求めた相手は、近くの操車場に住むブローヴァルという気のいい男性。その他、父もエルヴィスには理解があるし、特に田舎に住む祖父とは大の仲良しだ。この祖父は、母ではなく父方の祖父で、そのせいか母は、エルヴィスが祖父になついていることが気に食わない。一方、祖母の方は、エルヴィスに優しいのだが、20年以上前に6歳で亡くしたヨハン(エルヴィスの父の弟)のことが忘れられず、年齢がちょうど同じエルヴィスをヨハンと重ね合わせてしまう。しかし、エルヴィスがそれを嫌っているかというと、そうではない。ヨハンがいろんなものの匂いを嗅いでいたと聞くと、その真似をしたり、ヨハンの写真を見て、自分も同じ場所に立ってみたりもする。そのうち、エルヴィスが遂に小学校に登校する日がやってくる。緊張のあまり、最初の授業で、自分の名前すら言えずお漏らししてしまう。担任の先生は、信じられないほど優しかった。子供たちも、40年前は純朴だったのか、そのことで誰も差別しない。それどころか、アナ=ロサという女の子と親しくなる。彼女はエルヴィスの髪をブラシのようだと褒めてくれる。しかし、エルヴィスが学校をサボって祖父母の家に行ったことから、母は、帰宅したエルヴィスのボサボサ頭を刈り込んでしまう。エルヴィスは恥かしくて登校拒否。しかし、そのエルヴィスを救ったのもアナ=ロサだった。しかし、アナ=ロサの家族は、エルヴィスの母にとっては「ろくでなし」と映り、そのことをエルヴィスに言ったため、エルヴィスは激高する。母を傷つけたと思ったエルヴィスは、ショーウィンドで見つけた小さな真珠の指輪を、父に頼んで、父から母へのクリスマスプレゼントにしてもらう。

レーレ・ドナツィオは、本名Marco Daniele D’Orazio。ストックホルム生まれだが、イタリアの名前で、顔もイタリア人。現在はDaniele Sönke Palmとスウェーデン名に変更。映画では典型的なスウェーデン人の祖父母から産まれた父と、金髪の母の間に生まれた子供なので、黒髪のレーレにはどうしても違和感が覚えてしまう。映画では6歳の小学校1年生の役だが、1967年1月生まれなので、1976年11月に公開された映画の出演時には、制作に2年近くかかったとしても8歳ということになる。映画出演はこれ1本のみ。


あらすじ

ガラスの割れる音がして、「エルヴィス、何してるの?」という母の声が聞こえる。エルヴィスは、システムキッチンの上に乗って、覗いていた戸棚を慌てて閉める。ガラスの割れた音は、足元にあったワイングラスをうっかり床に落としてしまったもの(1枚目の写真)。キッチンに入って来た母は、「何てことしたの、このイタズラ坊主。お祖母ちゃんの大切なグラスなのよ。目を離すと、すぐに何かしでかすのね」と叱る(2枚目の写真)。「捨てないで、パパが直してくれる」。「グラスは直せないの」。「僕が、新しいの買うよ」。「今じゃ、もう作ってないの。お祖母ちゃんにどう話せばいいの? カンカンよ」。「黙ってれば?」。「もちろん話しますよ。私のせいにされたら大変」。エルヴィスが自分の貯金箱を持って来て、テーブルの上にコインをざらざらっと落としてみせる(3枚目の写真)。さっきは拒否されたけど、これで買おうという意思表示だ。母は、これに対しても、「いったい何してるの?」と強い調子で訊く。「あげるよ」。「お金をこんな風にして、ほんとに手に負えない子ね」と強く叱る。怒ったエルヴィスが「バカ!」と口答えすると、「もう我慢できない」と言って体を引っつかみ、部屋に閉じ込めて鍵をかける。エルヴィスは、ドアを叩いて、「大嫌いだ! バカヤロー!」と怒鳴る。母は、ドアの前から、「まだ、謝ってないじゃない」。エルヴィスが愛されているかどうかは分からないが、口うるさい母親であることは確かだ。
  
  
  

ドアに鍵がかけられたので、エルヴィスが窓に頭をトントンとぶつけていると、窓の下に大好きなブローヴァルおじさんがいて、見上げている。エルヴィスはさっそく窓を開け、桟の上に立つ。まだ小さいので、窓の高さと背の高さが同じだ(1枚目の写真)。窓は2階にあるのだが、エルヴィスはそこからブローヴァル目がけて平気で飛び降りる。玄関のベルの音で母がドアを開けると、そこには、エルヴィスを胸に抱いたブローヴァルが。母の最初に行った言葉は、「どうやって外に出たの?」。「簡単ですよ。私がキャッチしたのです」。そして、「こんな風に」とエルヴィスを抱き寄せる。エルヴィスは、わざとべったりくっついてみせる(2枚目の写真)。「窓から抜け出したの?」。「違う、ジャンプしたんだ」。ブローヴァル:「エルヴィスと私は昔から…」。エルヴィス:「友だち」。ブローヴァル:「じゃあ、さよならだ」。エルヴィス:「じゃあ、さよならだ」。ブローヴァルがエルヴィスを下に置く。ブローヴァルは、「さようなら」と言って母と握手して去って行く。母の唖然とした顔から、初対面だと分かる。ここで題名が入る。場所は鉄道の操車場。雨。貨車につかまっているのはエルヴィス。線路の真ん中に置かれたドラム缶の上に、傘をさしたブローヴァルが腰掛けている。そこに、エルヴィスが、「ブローヴァル」と呼びながら手を広げて駆け寄っていく(3枚目の写真)。ブローヴァルがエルヴィスを胸に抱いてドラム缶から立ち去ると、クレーンが降りてきてドラム缶を撤去する。不思議な雰囲気のオープニングだ。
  
  
  

エルヴィスが窓から外を覗いていると、母が買い物から帰って来て、大きなレジ袋から小さな箱を取り出す。エルヴィスへのお土産だ。エルヴィスが箱を開けと、中には手回し式のおもちゃのオルゴールが入っている。嬉しそうなエルヴィス(1枚目の写真)。「何か言うことはないの?」。「ママ、ありがとう」。エルヴィスがぐるぐると回し始めると、母が「何か分かる?」と尋ねる。「ううん」。母は、「待ってて、かけるわ」と言うと、プレスリーのアルバム・レコードをかける(2枚目の写真)。壁にはプレスリーの写真も貼ってある。その曲と、オルゴールの曲が同じだと、母は言いたいのだ。「ほらね」とご機嫌な母。この母親が機嫌のいいのは、プレスリーの歌を聴いている時だけだ。歌を聴きながら、母は、「今夜、パーティをやるの。叔母さんたちが来るから、いい子にして、早く寝て、邪魔しないって約束してね」と言う。母が歌に合わせて軽く踊っている姿を見るエルヴィス。何を思っているのだろうか(3枚目の写真)?
  
  
  

夜になり、早くベッドに追い払われたエルヴィス。真っ暗な中で起きていて、漏れてくる話を聞いている。エルヴィスのお産の話も。「エルヴィスの時のこと覚えてる? 死ぬかと思った。頭がすごく大きかったから。でも、もうすぐ学校に通うのよ」。叔母:「友だちができるわ」。「ちゃんと遊べるかしら?」。夫:「大丈夫さ」。「そう思う?」。そのあと、エルヴィスの独白が入る。「一度、ママが泣くのを見た」。しばらく経過し、叔母たちは帰ったようで、母が、「後片付けが終わるまでベッドに行かないわ」と父に言っている(1枚目の写真)。「今すぐ、来いよ」。「ママが泣いていた。どうしてだろう」。そして、母が泣いている映像がちらと2回映るが、映画を観終わった後でも、その意味は不明だ。そのうちにエルヴィスは寝てしまい、父母はベッドで愛し合い始める。夜のシーンは3分56秒。その間、ほとんどが真っ暗だ。増感させない黒一色の状態で見続けるのは辛い。1枚目の写真は、たまたま家の前を通っていったゴミ回収車の明かりで部屋の中が明るくなった一瞬。朝、エルヴィスが目が覚めて父母の部屋に行ってみると、2人はぐっすり眠っていた。もう7時5分なので、起こそうと、昨日母からもらったオルゴールを床に落としてみるが(2枚目の写真、矢印は落下するオルゴール)、すごい音がしたのに、2人とも眠ったまま。そこで、エルヴィスは操車場の脇に住むブローヴァルの家を訪れる。そこでは、家の外で、ブローヴァルが両腕で胸を抱くように座っている。「何してるの?」。「俺か?」。「自分をハグしてる」。さっそく真似をするエルヴィス(3枚目の写真)。
  
  
  

エルヴィスがアパートに戻って来ると、前の道路にトラックが停まっている。サマーハウスに行くんだと分かる。部屋に入ると父母がキッチンにいる。母はエルヴィスの顔を見ると、「これから田舎に行くから、朝食をとりなさい」と命じる。「お腹すいてない」。「なら、ズボンを替えなさい」。夫が、テーブルの上の食べカスを床に手で掃き捨てると、「何するの? 誰がゴミを掃除するの?」。そして、まだエルヴィスがいるので、「早く着替えてらっしゃい」(1枚目の写真)。夫には、「子供の世話ぐらいしてよ」。一々口うるさい。父が、マーガリンの容器を少し汚すと、「何度言えば分かるのかしら」。父:「機嫌が悪そうだから、俺は家にいる」。「私たちで草を刈らないと」。「私たちじゃなく、お前だろ。それに、今日は雨だ」。「降らないわ。手伝ってちょうだい」。エルヴィスが棒で遊んでいると、「ヨハンの古いズボンをはきなさい。濃紺のよ」と声をかける〔ヨハンは6歳で死んだ父の弟。祖母にとっては次男〕。父:「なんでだ? 自分のがあるだろ?」。「なら、お祖母さんにそう言ってよ。私は、あの子にヨハンのボロなんか はかせたくないんだから」。「ヨハンについては、少し拘りがあるからな」。エルヴィスが棒でヨハンのズボンを持ち上げる。「そうよ、エルヴィスは、お祖母さんにとってヨハンなの」(2枚目の写真)。そして、母は、2人を急がせて出かける。背の高いイスのようなものは、何に使うのだろうか?(3枚目の写真)。しかし、サマーハウスに着くと、父が言っていたように雨。しかも、雷による土砂降り。「ラジオの予報だって言わなかったじゃない。こんな所にいても仕方ないわ」。実に身勝手な女性だ。結局、何もせず、アパートに戻ることに。
  
  
  

エルヴィスは、アパートに戻ると、さっそく大好きな祖父に電話する。「おじいちゃん、会いに行っていい?」(1枚目の写真)。それを聞いた母は、さっそく父に「お祖父さん、エルヴィスを田舎に誘ってるわ。良くないことよ」〔エルヴィスから電話をかけたのに、「誘う」というのは曲解も甚だしい〕。父:「エルヴィスは、好きな時に祖父に会っていい」。「賛成できないわ。子供の前で大酒飲む人よ」。「黙らんか」。祖父母の家に行ったエルヴィス。祖父は、暗くなった庭のテーブルにエルヴィスを連れて行った。明かりはランプだけ。好きな酒をテーブルに置くと、エルヴィスにハーモニカを見せる。まず、自分で吹いてみてから、「口で挟んで、息を吸ったり吐いたりするんだ」と使い方を教える。ハーモニカが終わると、エルヴィスは祖父に母への不満をぶつける。「時々、僕のこと、邪魔だって言うんだ」。「パパは何て言ってる?」〔祖父にとっては、自分の長男〕。「知らないけど、ママに賛成じゃないかな」。「いいか、エルヴィス、自分で自分を守るんだ」。「やってるよ。だけどママ、すぐヒステリーになるから」(2枚目の写真)。その時、祖母がエルヴィスのために作ったお菓子を持ってくる。グズベリーをとろ火で煮てつぶしてクリームを加えたものだ。「昔ヨハンが言ってたわ。砂糖を振りかけると いい匂いがするんですって」。そして、「どう思う? いい匂いするかしら?」。エルヴィスは皿に鼻をつけて匂いを嗅ぐ(3枚目の写真)。「ヨハンは、いろんなものの匂いを嗅いでいたのよ」。
  
  
  

エルヴィスは、自分のアパートに帰ってからも、ヨハンの真似をして、いろいろな場所の匂いを嗅いでみる(1・2枚目の写真)。母が、「何か、臭う?」「どうしたのかしら?」と不審げに訊く。エルヴィスは、「何でも匂うんだ」と言うと、テーブルに置いてあった小さな箱を、「嗅いでみて」と母に渡す。母は嗅いでみるが、「何も臭わないわ」。それでも、汚れているのかと、雑巾でテーブルを拭く。祖母のヨハンへの拘りを示すもう1つのシーン。エルヴィスがヨハンの一張羅を着させられている(3枚目の写真)。祖母:「捨てるのがもったいなくて。上等の生地なのよ」。そして、「似合うんじゃない?」と母に訊く。「いいけど、手の長さが合ってないわ」。祖父がうんざりして大声で異論を唱える。「この服はエルヴィスのじゃない。袖が長すぎる」。
  
  
  

それでも祖母は、「ヨハンは、最初に登校した時、このスーツを着てったのよ」と言う。エルヴィスは、服よりも、もうすぐ小学校に行かなくてはならないと悟り、気が重くなる(1枚目の写真)。そしていよいよ登校日。エルヴィスは、新しく買ってもらったスーツを、珍しそうに見ている(2枚目の写真)。母は、精一杯おしゃれして付き添いの準備をしている。そんな姿を見ているだけで、エンヴィスはだんだん萎縮してしまう。母がこれだけ念を入れているのに、自分が失敗したらどうしょう、という不安だ。母:「おしっこは済ませた?」。「うん」。そして2人揃ってアパートを出る。学校は近いので歩いて行く。校舎に入ると、始業ベルが鳴っている。新らしく入学する子供と母親が階段を上がって行くが、途中でエルヴィスは行きたくないので戻ろうとする。許されるはずもないのだが。
  
  
  

新入生は、1つの教室に入れられる。優しそうな女の先生が、1人ずつ名前を読み上げ、それに生徒が「はい」と答える。教室の壁際には、付いてきた母親〔父親は1人だけ〕がずらりと並んで見ている。読み上げの順番がエルヴィスまで来る。先生が名前を読み上げるが、エルヴィスはうつむいたまま黙っている。母が、小声で「エルヴィス」と言い、先生も、くり返して呼ぶが黙ったまま(1枚目の写真)。「エルヴィス・カールソンはどこかな?」と先生が優しく促す。母は、他の母親の手前もあるので、「立ちなさい。名前、呼ばれてるでしょ」と笑顔で励ます。「エルヴィス・カールソンはどこかしら?」。「立ちなさい。先生が見てるでしょ」。エルヴィスは、母を振り返って見ると、前を向いて、何とも言えない表情をする(2枚目の写真)。緊張のあまり お漏らししたのだ。小便が床にこぼれる音がして、母が慌てて寄ってくる。先生は、笑顔になると、物置から大きなペーパー・タオル(ロール)を持ち出してきて、母と一緒に床を拭き始める(3枚目の写真)。「家を出る前に言ったのですが」「申し訳ありません」とひたすら低姿勢の母。先生は、エルヴィスの目を見ながら、「誰にでもあることよ」と優しく慰める。母は、床を拭き終えるとエルヴィスを立たせ、急いで教室から連れ出そうとする。先生は、ドアから出ようとするエルヴィスに、「気にしなくていいのよ」と励ます。
  
  
  

アパートに帰った2人。大切な服が洗おうと、エルヴィスは尿のついたものをすべて脱がされ、バスルームに放り込まれる(1枚目の写真)。母は、電話で不満をぶちまけている。「私が恥ずかしい思いをしてるのに、でくの坊ったら、返事もしないの。他のお母さんも見てたわよ、もちろん。そしたら、突然床に大きなおしっこの池が」(2枚目の写真)「何もかもぶち壊し。いったい明日からどうなるの?」。エルヴィスにとっても、「明日どうなるか」は不安だった(3枚目の写真)。
  
  
  

しかし、翌日の学校は、平和そのものだった。誰もエルヴィスをからかったりしない。先生が、生徒たちをオルガンの前に集め、みんなで歌わせる。曲は、日本でも馴染みのハイドンの驚愕交響曲の第2楽章の通称「たいこ」。その時、1人の女の子が、みんなの後ろを回ってエルヴィスに近付いて来る。そして、エルヴィスの耳に手を寄せて、「お漏らしした子、見た?」と訊く。「僕だよ」(1枚目の写真)。「勇気あるわね」。「何でもないよ」。エルヴィスは教壇に置いてある花の一房が水を吸えずにしおれかけているのを見ると、それを抜いて女の子に渡す。花をもらってにっこりする女の子(2枚目の写真)。それにしても、「お漏らし」をバカにしないところが素晴らしい。
  
  

2人の仲は、さらに進行する。壁にもたれて並んで座りながら、エルヴィスが「あやとり」を女の子に見せている。しかし、女の子が見ているのは、エルヴイスのボサボサの髪。我慢できなくなって髪に手を伸ばして撫でるように触ってみる。「素敵な感触ね。ブラシみたい」。そして、手首を指して、「ここが くすぐったく感じるの」。変わった褒め言葉だが、女の子に好かれたことは確かなので、エルヴイスはまんざらでもない(1枚目の写真)。アパートに帰ると、さっそく鏡の前に立って、自分の髪を触ってみる(2枚目の写真)。母は、明日カラーTVが届くので、一人で浮き立っている。私の家にカラーTVが入ったのは1961年のことだが、この映画はそれから15年後なので、エルヴイスの家があまり豊かでないことを示している。「明日、届くのよ。そしたら、みんなで見ましょ。楽しいと思わない? カラーなのよ。ママのエルヴィスが本物のエルヴィスを見るのよ〔プレスリーの悲しむべき死は1977年なので、映画の時点では41歳で現役バリバリだった〕
  
  

そして、翌日、母待望のカラーTVが運び込まれる〔父は興味ゼロ〕。TVをつけると、ちょうど、「エルヴィスの演奏は、ハワイから、通信衛星によって世界中の視聴者に放映されます」というアナウンスが入っている。プレスリーの演奏(1枚目の写真)を見ながら、母の興奮は最高潮。エルヴィスの顔からは、戸惑いしか感じられない。父も「仕方がないから見ている」という顔だ。エルヴィスは、うっとりと母の聴き惚れる母の腕にそっと触れてみるが、嫌がられただけ。エルヴィスはうんざりしてベッドに行って横になる。そこに、中継が終わって母が入ってくる。「どう、素敵だったでしょ?」。「どっちのエルヴィスが?」。その意外な返事に、母は「もちろん、私のちっちゃなエルヴィスよ」とごまかし、エルヴィスもその返事に満足する(2枚目の写真)。しかし、母の上機嫌はそこで終わり。エルヴィスがベッドで横を向くと、「なぜ、横向くの? 最近はママに優しくなくなったわね。キスしてくれる?」。エルヴィスがニコニコしながら何もしないと、急に口調が冷たくなって「ママのこと、嫌いなんでしょ?」と訊き、エルヴィスの笑顔も消える。そして、部屋を出ると、両親の夫婦喧嘩。「エルヴィンなんて名前じゃ、学校じゃ楽しくないだろうな」。「ヨハンだったら、もっといいと言いたいのね。お祖母さんみたいに」。それを聞いたエルヴィスは、明日、学校をサボって祖父母の家に行こうと決める。
  
  

母に内緒でバスに乗ったエルヴィスは、祖父母の家に向かう。思わぬ来訪に一番喜んだのは、大の仲良しの祖父。バスから降りて来たエルヴィスを両手を拡げて出迎え、飛びついてきたエルヴィスを抱きしめる(1枚目の写真)。その後、2人は近くの池に行き、祖父の背中に乗せてもらって水浴を楽しむ(2枚目の写真)。しかし、帰りには雨にたたられ、傘を持って来なかったのでずぶ濡れに。途中、エルヴィスが黙りこくっているので、祖父は「何を考えてる? 学校のことか?」と訊いてみるが、返事をはぐらかされる。
  
  

祖父は、家に着くと、濡れた体のまま、「ママに電話しないとな。心配してるぞ」と言う。「ダメ、かけないで」。「ここにいるって言わないと」。エルヴィスは祖父に言われて、隣の部屋からこっそり覗いている。「こっちは祖父だ。エルヴィスが来てるって、知らせておこうと思ってな」(1枚目の写真)「ああ、一日中いたぞ」「そんなことは不要だ」「家に帰れだ? すぐに?」。ここで、場面はアパートに。母がプリプリしながら話している。「誰が決めたの?」「即刻帰してと言ったのよ」。そこに夫が帰宅する。「誰なんだ?」。「お祖父さん。エルヴィスが学校をサボって遊びに行ったの」。そして、祖父に「いいこと、私の子なのよ」と怒鳴るように言う。夫は「ちょっと待て。そんな言い方ないだろ」と言うと、妻から電話を奪う。「もしもし。やあ父さん。どうなってる?」「本当かい?」「いいや、もちろん居ていいよ」。ここで妻が文句。「エルヴィスは家に帰らせないと。学校をサボるなんて!」。「やめんか!」。そして、再び穏やかな声になって、「明日は土曜だな。構わんよ。それがいい」「楽しんで。じゃあ」。電話が終わると、妻は、「私には発言権がないの?」と、罵るように責める。「そんなにカリカリするな。あの子は週末ステイすればいい」。それを聞いた妻は、「あなたは、すぐお父さんに降参なんだから!」と嫌味。さらに、「サボった後で、お楽しみ? 先生は、私のこと、何て思うかしら? お漏らした上にサボるなんて!」。夫は、おだやかに、「私たちで楽しめばいい。パーティでも開くとか…」と言って妻の腰を触ると、「触らないで!」と拒絶(2枚目の写真)。夫は成人なので、こうした妻の言動にもびくともしないが、エルヴィスにとっては、こうした母の存在は精神教育上、プラスの部分は何もない。初めての授業で失禁した真の原因も、この強権的で独りよがりな母親のせいだ。
  
  

エルヴィスは、祖母がいつも座っている籠イスの横に置いてあった古い本を開いてみる。表紙をめくると最初にあったものは1枚の古い写真(1枚目の写真)。写真の裏には「ヨハン、6歳」と書いてある。改めて写真をじっと見る。背景にあるのは祖父母の家の入口の木の階段だ。そこにヨハンの影が映っている(2枚目の写真、矢印)。エルヴィスは、「ヨハンの影」と言うと、自分も同じ場所に行き、同じような影ができるのを確かめる(3枚目の写真)。キッチンに入って行ったエルヴィスは、採れたばかりの大量のニンニクを整理している祖父に、「ヨハンは、パパの弟だったの?」の訊いてみる。「ああ、そうだ」。「死んだんだ」。「そうだ。ヨハンは死んだ」。「知ってたよ」。その後、エルヴィスは野原を突っ切って教会の墓地まで行き、「1951.6.18生誕、1958.1.5死去」と表示された墓碑銘を見る。
  
  
  

土曜の夜、祖母は、エルヴィスに、ヨハンは毎夜祈っていたと話し、「主の祈り」を唱え始める。「み心の天に成る如く 地にもなさせたまえ」まで来た時、エルヴィスがその意味を質問する。「神様に決めて頂きたいと願っているの」。「神様は、何をしたらいいか教えてくれるの?」。「そうよ、教えて下さるわ」。「誰に対しても?」(1枚目の写真)。「ええ、誰にもよ?」。「ママにも?」。如何にエルヴィスが母に不信感を抱いているかが分かる。翌日曜、エルヴィスはバスに乗って帰宅の途につく。祖父が、花束を持って見送りに来てくれる(2枚目の写真)。「おじいちゃん、神様は、何をしたらいいか教えてくれるの?」と尋ねる。祖父の答えは祖母の話とは違っていた。「いいや違う、自分で決めるんだ」。そして、バスの扉が閉まった後も、「大事なことだぞ! 頑張れよ!」と大声で呼びかける。この祖父の教えは非常に重要だ。
  
  

アパートに戻ったエルヴィスを待ち受けていたのは、最大の危機だった。学校をサボって、祖父母の家に行った罰として、エルヴィスの伸び放題の髪を切ろうとしたのだ。「髪がボサボサのブラシみたいよ」。唯一人友達になってくれた女の子が、ブラシのようだと褒めてくれたので、エルヴイスは「僕は、ブラシみたいのがいいんだ!!」と大声をはりあげる。「何なの、それ?」。「このままでいい!!」。「何て口をきくの?」。「かまうもんか!!」。母の忍耐もここまで。「お祖父さんみたいな口きくのね」「じゃあ切るわよ」。「このままがいい!!」(1枚目の写真)。しかし、母の前では、エルヴィスの抵抗もそこまで。結局は、髪を切られることになる。そして、あろうことか、「登校拒否するなら、臨床心理士に連れて行くわよ」「だらしない格好、恥ずかしいったらありゃしない」のプラスαのお言葉も(2枚目の写真)。やっと解放されたエルヴィスは、鏡の前に立つと、自分で前髪にハサミを入れる(3枚目の写真、矢印)。これで額が丸見えになった。
  
  
  

翌 月曜は雨。エルヴイスは学校をサボり、終わった頃に、女の子(アナ=ロサ)の家に行く。土砂降りの中、窓の下にいるエルヴイスに気付いたアナ=ロサは、家に入れてやる。アナ=ロサは、レストランで働いている母がもらってきた食材をエルヴィスにも食べさせる。そして、「なぜ、今日、学校に来なかったの?」(1枚目の写真)と訊く。「やめたんだ」。「できないわ。学校へは絶対行かないと」。「僕は別。行かないんだ」。そう言うと、ニット帽を取り、「髪を切ったんだ」と見せる。「だらしないから」。「髪を切っちゃダメじゃない」。「好きで切ったと思うかい?」。可哀想だと思ったアナ=ロサは、戸棚の中をひっくり返してカツラを見つけてくると、エルヴイスの頭に被せてやる。「これならどう?」(2枚目の写真)「あしたは、学校へ来るのよ」。「分かった」。
  
  

火曜日の朝、エルヴィスはニット帽を被って学校へ。みんなより一足遅れて教室の前に行き、顔を覗かせて様子を見ていると、先生が「いらっしゃい、エルヴィス、来てくれたのね?」と優しく寄って来る。数ある映画の中でも、これほど優しい教師は見たことがない。笑顔で、「やめたりしないわよね?」「最後まで いられる?」と訊く。「わかんない」。「もう一度、初めからやってみましょ」と頬を寄せて語りかけ、コートを脱がせる。エルヴィスがニット帽を取ると、カツラがワツと広がる。「どうしちゃったの、その髪?」。エルヴィスはカツラを取ると、「切ったんだ。僕、バカみたいに見えるから」とオドオドと話す。先生は、「お利口さんにしか見えないわ」と言って、頬にキスし、「それ(カツラ)は置いて、中に入りましょ」(1枚目の写真)と教室へと誘う。授業が始まってからのエルヴィスは、始終ニコニコして楽しそう(2枚目の写真)。先生が、うっかりチョークを折ると、さっそくチョークを拾って先生に渡す優等生ぶり。授業の合間には、他の生徒たちの先頭に立って校庭に行き、太い木の周りをぐるぐる回る遊びに興じる(3枚目の写真、矢印がエルヴィス)。
  
  
  

大喜びで帰ってきたエルヴィスがドアを開けると、待ち構えていた母が、「どこにいたの?」と詰問し、カバンをひったくるように取り上げ、「持ってる権利なし」と言う。怒ったエルヴィスは、「僕のカバンを返せ」と奪い返す(1枚目の写真)。母は、「ちゃんと学校に行くようになるまで、あんたのカバンじゃない」と、もう一度奪い返す。「僕、今日、学校に行った」。「何なの? 嘘をつくの?」〔最低の母親だ〕。エルヴィスは、受話器を取って、「先生に訊けよ」と言う(2枚目の写真)。「先生を煩わせる気はないわ。1年遅らせることに決めたから」。「わずらわせてなんかない」。「今日、学校に行ったの、行かなかったの?」。「行ったさ」。「電話して、先生に謝罪しないと」。「必要ない。先生が電話するって言った。約束してくれた」。「生意気言うんじゃないの。先生が電話してくるの?」。「そうさ」。エルヴィスがアパートを出ていった後で、「あの腕白、先生に何て言ったのかしら」〔この母親は、自分の過ちは決して認めない。そして、常に悪い方に考える。しかし、それは、脚本のミスのような気もする。なぜなら、6歳までこんな調子で育てられたら、エルヴィスの性格はもっと歪んでいるハズだから〕
  
  

エルヴィスが向かった先はアナ=ロサの家。この日は、母と姉もいたが、家中に笑いが渦巻いている。すごく明るい家庭だ(1枚目の写真)。エルヴィスがこの日覚えたテクは、頭に卵を打ち付けて割る方法。さっそくアパートに帰り、父の前で実践する。エルヴィスが「割ってあげようか」と父の卵に手を伸ばすと、気のいい父は、「いいや、自分でやってみる」と言って、頭で卵を割る(2枚目の写真、矢印が卵)。「こんなこと、誰が教えたんだ?」と笑いながら父が訊く。「アナ=ロサのママだよ」。「やってみせたのか?」。「うん、すごく面白い人だよ」。エルヴィスの母は、入口でこっそり会話を聞いている。これでアナ=ロサの一家に対する評価はガタ落ちだ。その後、母がキッチンに入って来てテーブルに着くと、気まずい空気が流れる。
  
  

別な日、エルヴィスがアナ=ロサに会いに行くと、外に誘われる。アナ=ロサが連れて行った先は、廃棄された工場のような場所。アナ=ロサが暗がりに隠れてしまうので、エルヴィスは恐る恐る捜す(1枚目の写真)。その後、エルヴィスは、雑草の茂みの中も探し廻る。台詞も何もない場面だが、映像は美しい(2枚目の写真)。ある日、エルヴィスとアナ=ロサが、少し遅れて、学校からじゃれ合いながら出てくると、待ち構えていた母と出会う(3枚目の写真)。母は、アナ=ロサには声一つかけず、「帰るわよ、さあ」とエルヴィスの手をつかむと、さっさと連れ去った。
  
  
  

アパートに帰ると、エルヴィスはキッチンの入口に座らされ、たっぷり嫌味を言われる。「そこに座ってなさい。いい子ぶったりして。学校が終っても、なぜすぐに帰って来ないか分かったわ。現場を押さえた以上、弁解は一切ききませんからね。アナ=ロサの家に行ってたなんて。あの人たちが、どんな人間か知ってるの?」(1枚目の写真)。「うん。親切だよ」。「親切? 何も知らないじゃないの」。「すごく楽しいよ」。「ろくでなしの連中よ。ママの言ってることは正しいの」。「正しくなんかない」。「正しくないって? あの恥さらしが?」。「親切だよ」。「じゃあ、向こうにいる方がいいのね? あの女についての噂話は全部聞いたのよ」。「ガミガミうるさい」(2枚目の写真)。怒った母はエルヴィスをアパートから追い出す。
  
  

エルヴィスは、ドアを叩いて、「大嫌いだ!! 殺してやる!!  お前なんか、死んじゃえ!!」と大声で叫ぶ(1枚目の写真)。「言ったわね。ママに死んで欲しいって。自分が何を言ったか、分かってるの?」。素直なエルヴィスは、ドアの前の階段に座って反省する。ドアをこっそり開けてそれを見た母は、「今、ママに何を言ったか、知ってるの? 絶対、忘れないわよ」とダメ押し(2枚目の写真、写真は母)。その夜、寝室で、エルヴィスは窓の前に立ち、激しく降る雨を見ている。その後、ベッドに入ると、「そんなつもりで言ったんじゃない」「ママには死んで欲しくない」と呟くので、あんな母親でも、エルヴィスにとっては大切な存在であることがわかる。しかし、なかなか感情移入しにくい状態だ。
  
  

エルヴィスは、宝石店のショーウィンドの中で、くるくると回っている真珠の指輪に見とれている(1枚目の写真、矢印の先に小さな真珠)。次のシーンで、エルヴィスはブローヴァルと一緒にカフェに入っている。エルヴィスは、父に、母へのプレゼントとして指輪を買って欲しい、と思っていることを打ち明ける。「なぜだ?」。「仲良くなって欲しいから」(2枚目の写真)。優しいが、切ない言葉だ。
  
  

クリスマス・イヴの夜、アパートは祖父母も加わり、久し振りに賑わっている。ツリーの前にはプレゼントが積まれている。サンタに扮装した父が、プレゼントを手渡す。母が、「これ誰からかしら」と言いつつ、指輪の入った小箱を開ける。エルヴィス:「パパからだよ」(1枚目の写真)。箱の中に真珠の指輪を見つけた母は大喜び。「どうだ、気に入ったかい?」。「素敵だわ」。父は、「選ぶのにエルヴィスが手伝ってくれた」と口添えしてくれる。母は、席を立つと、鏡の前に立って指輪をはめた感じを確かめている。エルヴィスは、その隣にやって来ると(2枚目の写真、矢印の先に真珠)、「死なないでね」と静かに言う。それを聞いた母は、エルヴィスの頬を両手で挟み(3枚目の写真)、エルヴィスを抱きしめ、「私の可愛い坊や」と微笑む。
  
  
  

その夜、エルヴィスは、お休みを言いに来た祖母に、「人間って、互いに理解できなくても、好きになれるの?」と尋ねる。「もちろん、できるわよ」(1枚目の写真)。翌朝、一面に積もった雪の中、母はアパートの外にあるゴミ箱にクリスマスのゴミを押し込んでいる。その時、エルヴィスが玄関の扉を開けて外に出て来た。アナ=ロサの家に行く気だ。それを見た母は、「ママと一緒に家にいないの? クリスマスなのよ。楽しみにしてたわ。一緒にいたくないの?」と訊く。困ったようなエルヴィスの表情が印象的だ(2枚目の写真)。「いたいよ、ママ」。「じゃあ、中へ入りましょ」。それでも、エルヴィスは入ろうとしない。「ママのためよ。ママが嫌いなの?」。「好きだよ」。「誰かに会いに行くの?」。「ううん」。そう否定したが、エルヴィスは母に背を向けると去って行った。その夜、ベッドに入ったエルヴィスは、起き出して母のベッドに入り込み、眠っている母に向かって「いい子になる」と囁くのだった(3枚目の写真)。「自分で決めるんだ」の祖父のアドバイスで、アナ=ロサに会いに行ったエルヴィス。「互いに理解できなくても、好きになれるか」と祖母に訊いたということは、エルヴィスには母のことが理解できないし、母は自分のことが分かっていないと自覚している。それでも、少なくともエルヴィスは母のことが好きなのだ。だから、アナ=ロサに会いに行ったことを詫びている。理屈は通るのだが、観終わっても何故か釈然としない。IMDbの評価が6.2と低めなのも、致し方ない。
  
  
  

     L の先頭に戻る                    の先頭に戻る
     スウェーデン の先頭に戻る            1970年代 の先頭に戻る

ページの先頭へ